開店休業中であったこの焼き鳥好きが焼き鳥を語るためだけに集まる「焼き鳥AVANTI」の再オープンに伴い、今一度、焼き鳥の原点に戻ろうと、一から焼き鳥について深く考えてみようと思った。
そこで、世界焼き鳥党HPにもある1682年に発行された料理本「合類日用料理抄」を今一度よくよく考えてみることにした。
「鳥を串にさし薄霜ほどに塩をふりかけ焼き申し候。
よく焼き申す時分、醤油の中へ酒を少加え、右のやき鳥をつけ
一へん付けて醤油のかわかぬ内に座敷へ出し申し候。」
これを自分では、
「鳥肉を串に刺して、かるく塩を振ってよく焼いた後、
醤油&酒のタレにつけて乾かないうちに食べてもらいましょう♪」
と解釈したが、「乾かないうちに」とは何だろう。
味が変わるのだろうか?
その疑問を解明するには、実際に体感してみるしかない!と思い、
その日本初の焼き鳥レシピ「合類日用料理抄」に則って、日本初の正式焼き鳥レシピを作ってみることにした。
材料は至ってシンプル。鳥肉、塩、醤油、酒。せっかくなので酒は「酒は大七、旨さは第一」でお馴染みの福島銘酒「大七純米酒・生元」をセレクト。
@鳥を串にさし薄霜ほどに塩をふりかけ焼き申し候。
鳥モモ肉を一口サイズに切り、串にさす。軽く塩をふる。

鳥モモ肉を一口サイズに切り、串にさす。軽く塩をふる。
Aよく焼き申す時分、醤油の中へ酒を少加え、右のやき鳥をつけ一へん付けてそれをガス台のグリルで焼いていき、中まで火が通ったら、醤油と酒のタレをつける。
分量が書いていないので、とりあえず、醤油:酒=5:5


分量が書いていないので、とりあえず、醤油:酒=5:5
B醤油のかわかぬ内に座敷へ出し申し候
完成。これが日本初の焼き鳥だ。食べ比べるために、こちらは「乾かして」おく。

完成。これが日本初の焼き鳥だ。食べ比べるために、こちらは「乾かして」おく。
残りの2本も焼いて、いよいよ食べ比べる。

まずは、焼きあがったばかりの「乾かぬ」うちの焼き鳥を一口。
至ってシンプルな醤油味で、どこか原始的で粗けづりな印象はあるものの、肉が口の中でほどけていく感覚と素朴な味わいがマッチする。酒と醤油だけなのでうまくタレが絡むか心配だったが、なんのなんの。少ししょっぱいかな?というくらいの「のんべい」好みテイストだ。では、予め仕上げておいて「かわいた」ほうはどうだろう。
タレが完全に乾いたのを確認して、食す。

タレが完全に乾いたのを確認して、食す。
…。
先ほどと比べると肉は固くなってしまっていて、味も飛んで抜けていってしまったように薄くなっていた。
そして、もちろんすっかり冷めきっていた。
「かわかぬうちに」の意味は「汁が乾いて冷めきってパサパサになってしまわないうちに」ということだったようだ。
結論
焼き鳥はやはり焼きたてがうまい。

焼き鳥はやはり焼きたてがうまい。